バディミッション BOND

あらすじ

警官、怪盗、忍者、詐欺師。
生きる世界も立場も異なる4人が、謎の組織に挑むべく、思惑を抱えながらもチームを組む。

―――真実に迫れ、相棒と共に。

(公式HPより引用)

製品情報

作品名 バディミッション BOND
公式サイト 公式HP
発売日 2021年1月29日
ジャンル アドベンチャー
対応機種 Switch
キャスト ルーク(木村良平)
アーロン(近藤隆)
モクマ(森川智之)
チェズレイ(浪川大輔)
ボイス 有り
主人公情報 ルーク 正義感の強い警察官
個別イベント 有り
個別エンディング 無し
作品の傾向 相棒/バディ 男同士の絆が濃い
キャラ傾向 一匹狼な怪盗(アーロン)
フレンドリーな元忍者(モクマ)
魔性の詐欺師(チェズレイ)

感想

結論から言いますと、バディ/相棒関係を堪能したい方にはスーパーウルトラ超絶オススメな作品です。
細かい粗や不満点もありますが、それを凌駕する程の燃えと萌えが詰まってます。

プレイ時間は20時間ちょいとボリューム的にはそこそこ。
メインのシナリオ以外にも、主人公チーム同士の交流を描いたバディエピソード、メインストーリーの補足的な内容のサイドエピソードなど、様々な視点で物語が描かれています。
本編クリアの余韻に浸りながら、サイドエピソードで新たな発見が出来たりと、クリア後も楽しめるのはGOOD。

良かった所

美麗なイベントCG

本作ではキャラクターデザインに、ジャンプなどで活躍している村田雄介さんを起用しており、恐らく作中で挿入されるイベントCGやモブの立ち絵に至るまで、すべて村田さんが手掛けているのだと思われます。
違っていたら申し訳ないのですが、そう思ってしまう程イラストや立ち絵のクオリティは高いです。
ノベルゲームのように、ここぞという時に一枚絵がドーンと表示されるのではなく、要所要所に漫画の1コマのような美麗なイラストが挿入されるので、フルボイスで漫画を読むような感覚でプレイしていました。
立ち絵も豊富で、キャラの表情がコロコロと変わる上にイベントCGも豊富なので、文字をただ読むだけではなく視覚的にも楽しめるのは新鮮で良かったです。

主人公が魅力的

公式サイトのキャラ紹介を初めて見た時から、キャラデザインや声優さんが凄く良いなーと思っていましたが、ゲームクリア間近にはこれで終わっちゃうのか…、と寂しさを感じるくらい愛着が湧きました。
特に主人公のルークの描き方、これは本当に良い塩梅でした。
困ってる人を放っておけないお人好しで、老若男女問わず誰に対しても紳士的で親切。
正義感が強く警察のキャリア組になれる程度には優秀で、射撃の腕はピカイチで見た目も良し。
と、こう書くとただのハイスペック主人公なのですが、仲間(特にアーロン)からは結構ぞんざいに扱われていたり、自由過ぎるチームメンバーに振り回されてアワアワしている事が多く、ハイスペックさが良い感じに霞んでいるのが逆に好印象でした。
もちろん決める時はバシっと決めてくれるので、そこのギャップがまた魅力でもあります。
周りから「さすがルーク!」なんて褒められる事は最小限で、何気ない会話やエピソードの中でルークの魅力を感じる事が多く、言葉で説明されるのではなく、自分で魅力を発見する事で、より鮮明にルークの魅力が伝わってきたように思います。

相棒関係の描写が濃い

タイトルにバディと銘打っているだけあり、相棒関係は序盤から終盤まで丁寧に描かれています。
本編中ではチームBONDの仲間同士の絆と、ルーク&アーロン、モクマ&チェズレイの二組のバディの絆がメインに。バディエピソードという本編の進行状況によって解放されるストーリーでは、ルーク&チェズレイやアーロン&モクマなど、本編ではあまり描かれていなかったキャラ同士の交流が見ることができます。
メインキャラは4人と少ない人数ではありますが、どうしても絡みの多い少ないは出てくるので、そこらへんの不足分を補完してくれる心遣いは非常に嬉しい。
特にチェズレイはバディエピソードの恩恵を最も受けているキャラで、本編ではモクマ以外との絡みが若干薄く物足りなさを感じた部分もあったので、バディエピソードできちんと補完されていて良かったです。
そして私が購入前から期待しまくりだったルーク&アーロンには、もうなんていうかね、自分の語彙力では伝えきれないというか、途方もないレベルの萌えと燃えを頂いて感謝しかないです。
利害の一致から行動を共にするようになり、一緒に障害を乗り換えながら信頼関係を築き、衝突しながらも相手が苦しい時には全力で支え合う二人には何度泣かされたことか…。
アーロンがルークに助けられる事もあれば、ルークがアーロンに助けられる事もあり、一方に寄りかかる事無くお互いを補い合いながら、精神的に成長してヒーローになっていく二人の姿はめちゃくちゃエモいです。
キャラの設定的にルークがアーロンに振り回されまくるのかと思いきや、意外にも力関係のバランスが取れていて、背中を任せられる理想的な相棒関係だなーとしみじみ思いました。

引き込まれるストーリー

途中で中だるみする事もありましたが、序盤や終盤のシナリオ展開は非常に吸引力が高く、早く先を見たい!と先が気になるストーリー構成となっていました。
終盤では今までに関わっていたキャラが、巨悪に挑もうとする主人公達に力を貸してくれるという胸熱展開があったりと、終盤の熱量は本当に凄まじいものでした。
本編では怒涛の展開の連続なので、日常的な会話やサブキャラの掘り下げなどはサイドエピソードで保管という形を取っています。本編と並行してサイドエピソードやバディエピソードを見ていくと、より物語を深く楽しめるます。
ただ、サイドエピソードの解放条件的に、一回クリアしたエピソードをもう一度やり直さなければいけないので、そこは少し面倒に感じてしまいました。
お話のノリはバディ物の海外ドラマ、アメコミ、少年漫画をすべて混ぜ合わせたような感じ。
登場する女性キャラもカッコよさの中に可愛らしさがあって、意図的に悪として描かれているキャラ以外は、登場キャラ全員に好感が持てました。チェズレイ以外にはそれぞれ関りの深い女性キャラが出てきますが、そこらへんを深堀りしているのはサイドエピソードで、本編で恋愛のあーだこーだは一切ありません。
ルークは告白される寸前まで行きますが、「年齢差もあるし数年後に同じ気持ちだったら、その時告ってね(意訳)」と紳士的に対応して終わります。ルークが鈍いのとルーク側が相手を意識しているような描写も一切ないので、ヒーローに助けられた女の子の淡い恋って感じで、見ていて微笑ましい程でした。アーロンは女性側が家族愛で恋愛感情はないときっぱり否定、モクマとナデシコ嬢は過去に関係はあったものの、あくまで昔の甘酸っぱい思い出として割り切っているので、ノマカプフラグで萎え…とはなりませんでした。
ここらへんは個人で感じ方も違うと思うのでなんとも言い難いですが、あくまでサイドエピソードで語られる内容なので、不安な方はサイドエピソードをスルーすれば問題ないかと。
あくまで本編の主軸にあるのは相棒との絆で、それ以外の要素はサイドエピソードとして分ける事で、うまい事住み分けしているなーと、細かい気配りを感じました。

不満点

ゲームとしての楽しみが少ない

コミック風アドベンチャーとしては非常に良質なんですが、それに比べると捜査パートと潜入パートはもう少し頑張れと言いたくなるクオリティでした。
捜査パートは捜査というより潜入する前の情報収集がメインで、すごろくのようなマップに情報をくれるキャラが配置され、限られた歩数の中で潜入に必要な情報を効率よく集める必要があります。
適切なキャラと選択肢を選べば、潜入の際に有益な情報をもたらしてくれるんですが、クイズに正解しただけで結構な機密情報をペラペラ喋るのは如何なものかと。
一応「こんな事聞いたってどうする事も出来ないと思うけどね!」ってノリでペラってくれるんですが、聞いてもないのに情報提供してくれる事もあるので、そこはもう少しリアリティを持たせて欲しかったなーと。
また、情報提供をしてくれるキャラが居る場所や、正解選択肢のヒントは至る所に散りばめられているのですが、記憶力の低下したこの身には中々辛いものがありました…。
さっきなんか見たような気がする!思い出せないけど!というパターンが多すぎてゲームをしながら老いを感じ、しんみりしてしまいました。

潜入パートではキャラを捜査して、ダンジョンの謎解きをしながら目的地を目指すんですが、移動速度が遅いのが地味にストレス。ダンジョンの謎解きも捜査パートで貰った答えの通りに行動するだけなので、ギミックを解く楽しみは感じられませんでした。
捜査パートも潜入パートも、プレイヤーに操作させる事でゲーム性を持たせようとしているのだとは思いますが、下手に色んな要素を増やしたせいですべてが中途半端になってしまっています。潜入パートでキャラを操作する事で臨場感が増したのは良かったと思うので、潜入パートはもう少し頑張って作りこんで欲しかったです。
あと細かい不満ではありますが、潜入パートのアーロンの3Dモデルの目つきが悪すぎ問題。もはや人間の目つきとは思えない様相。イラストや立ち絵のアーロンが野性的なイケメンなだけに、落差が激しすぎてコレジャナイ感が最後まで残りました。

ミスが許されないQTE

潜入パートは基本的にダンジョンの最奥まで行けばクリア、というものが大半ですが、一部ミッションでは敵と直接対決する場面があります。その対決の際にQTEが発生するのですが、それが結構難しいです。巷では「簡単すぎて入れる必要性がないQTE」などとまことしやかに囁かれていますが、下手くそゲーマーには大いなる壁として立ちはだかってきました。
ミスしてもミッションクリア後の評価が下がるだけでクリア自体は出来ますが、S評価にしないと解放されないエピソードも多く、その中でも全てのミッションをS評価でクリアする、という鬼のような条件のサイドエピソードを解放するのは中々に骨が折れました。
S評価にする為にはQTEをほぼノーミスでクリアする必要があるので、サイドエピソードを解放するため長いラスボス戦に10回近く挑む羽目に。そのお陰でラスボスに対する憎しみは増し、より主人公に感情移入出来ましたけどね…。
鬼畜条件なだけあり、解放されたサイドエピソードは頑張ってよかった!と思える内容でしたが、このエピソードを見ないと本当の意味でのクリアとは言えないのでは?という内容でもあるので、ハードルを高くして諦めてしまう人が居たら勿体なさすぎる、とちょっと心配になりました。

まとめ

新規IPという事で不安はあったものの、ストーリーやキャラは期待以上でめちゃくちゃ楽しかった!
ゲーム部分に関しては改善してほしい部分が多々ありますが、コミック風アドベンチャーという新たなジャンルをこれで終わらすのは本当に勿体ないと思うので、どうか続いてほしいなと切に願います。