冠を持つ神の手

あらすじ

王国リタントの三足族は、無性別で生まれ、15歳で成人してから自らの意思で男女へと別れていくという特殊な種族であった。リタントの王の座を得られるのは、額に光る選定印を持って生まれた者のみ。血筋は関係なく、額の徴だけが、神から与えられた王たる者の冠だった。
次代の王位継承者が成人した暁に譲位が成されるという慣わしに従い、継承者の成人を一年後に控えていた時期に、徴を持つもう一人の人物が発見された。14歳の同い年の二人の継承者のうち、どちらが王座に就くのか、同時代に二人の人物に与えられた徴が持つ意味とは何なのか……。

それは神が授けた、ただ一つの王の証――。
海に囲まれた世界の、
壁に区切られた国の、
湖に隔てられた島の、
垣に護られた城の、
徴に縛られた人の物語。(公式サイトより引用)

製品情報

作品名 冠を持つ神の手
公式サイト 公式HP
発売日 2009年6月1日
ジャンル 育成シミュレーション
対応機種 Win
キャスト ——
ボイス 無し
主人公情報 レハト(名前変更可) 王候補者
個別イベント 有り
個別エンディング 有り
作品の傾向 独特/ファンタジーな世界観
多数のエンディング 自由度の高いSLG
キャラ傾向 陽気なもう一人の王候補(ヴァイル)
嫌味な現国王の一人息子(タナッセ)
王城に仕える衛士(グレオニー)
浮世離れした神官(ティントア)

感想

まず一言。OPのクオリティが高すぎる!!
そもそもフリゲにOPがあること自体凄いのに、出来も良いとは何事かと思いました。民族音楽っぽい曲も世界観にマッチしてて、途中で主人公の独白を入れる演出など、全てにおいて素晴らしいとしか言えません。

そしてゲーム内容ですが、平民だった主人公がひょんな事から王位継承権を持っている事が判明して王城に連行されます。そこで「まあ王になる可能性薄いけど一応教養を積んでってよ」と王様に言われたので自分磨きをするハメになる主人公。
自分のパラメーターを上げつつキャラのイベントをこなして好感度を上げてエンディングを目指す、要はときメモ形式のシミュレーションゲームです。
エンディング数の多さ、細すぎる分岐やフラグ管理、プレイ時間自体は短めなのも差し引いても頑張りすぎな位作りこまれています。

今作は成人の儀を終える前の子供は性別が決まっていないという設定で、例に漏れず主人公も性別は決まっていません。主人公の性別が決まるのはエンディング間際で、これはプレイヤーが選択することができます。
これはエンディング分岐にも影響しており、男と思う存分イチャイチャして、エンディングで主人公の性別に「女」を選択すれば恋愛エンド。男と友情を育みエンディングで「男」を選択すれば友情エンドといった感じです。
ニアホモ的に王道なのは友情エンドなのですが個人的にオススメしたいのは裏切りエンド。名前からして禍々しいですが、このエンディングを見る条件はもっと酷いです。
裏切りエンドを見るためには、男と散々イチャつきキスまでして攻略キャラをその気にさせた上で、主人公が性別「男」を選択することで見ることが出来ます。これはひどい。

最後の最後で攻略キャラを裏切るという鬼畜エンドなのですが、主人公の裏切りを知った時の攻略キャラの反応が、それぞれ個性が出てて面白いので一度は見ていただきたい。
高慢ちきなキャラであるはずのタナッセが、罵詈雑言を浴びせる事もなく静かに凹んでたり、のんびり不思議系だと思ってたティントアが「間違えたんだよね!?もう一回性別選択やり直せるから!!」と意外な粘りを見せたりと、本当に多種多様な反応を見せてくれます。

一回エンディングを見ただけでおしまい、ではなくて色んな視点からキャラを見つめる事ができるので、何周でも楽しめその度にキャラに愛着が湧いていく。魅力的な部分もそうでない部分も余す事なく掘り下げた素晴らしい作品でした