小説

今夜は眠れない

いたって平凡な主人公一家は5億円を手に入れた事をきっかけに家族関係が崩壊。
そんなどたばたな主人公を支える親友島崎の友情と、主人公一家の家族愛を主軸としたお話です。
宮部さんの小説は初めて読みましたが、主人公の語り口調の文章がとても読みやすくサラッと読めました。

平凡な主人公と頭の切れる大人びた親友、という組み合わせが大好きな私にはたまらない作品でした。友情よりも家族愛がメインな今作ですが、親友島崎は登場するたびに良い働きをしてくれます。
受難続きの主人公を心配し支える島崎は、本当に中学生?と疑いたくなるほど良い男です。行き場をなくした主人公をこっそり家に泊めるけれど、過剰に構ったりしない程よい距離感を保つ二人に萌え。

続編の「夢にも思わない」でも、主人公と島崎の友情は健在なのでこちらもおススメです。ただ、こちらの作品は主人公の恋が描かれているので苦手な方はご注意ください。
軽めのミステリー、中学生同士の友情が好きな方におススメです。

ネバーランド(恩田陸)

伝統ある男子校に通う主人公。
男だらけの寮生活の中でぎこちなくも友情を育む4人の少年達。
BL作品では定番の舞台+設定ではありますが、とても新鮮な気持ちで読むことが出来ました。
ラブがない分、友情描写や登場人物の背景などがこの一冊に凝縮されています。ラブがないといっても、主人公の美国に対して友情以上恋愛未満な感情を抱いてる人物がいるので、ホモっぽいけどホモじゃない、というニアホモ特有のじれったさも存分に堪能する事ができます。

ホラーな雰囲気を醸し出しつつも、ラストは青春だな~と爽やかな気分にさせてくれる読後感は六番目の小夜子に近いかも。
穏やかなミステリーと男同士の友情を求めている方にオススメです。