九龍妖魔学園紀

 あらすじ

2004年。東京、新宿にある天香学園(かみよしがくえん)に、一人の転校生がやってくる。
一見、何の変哲もない学園と転校生だが、双方には隠された秘密があった。
学園はいつの頃からか【生徒会】と呼ばれる集団に支配されており、【生徒会】に従わない者は密やかに【執行委員】によって処罰されていた。
そして、転校生の正体は【宝探し屋】。学園の地下に遺跡が埋まっている情報を入手し、その深部に眠る【秘宝】を求めて転校してきたのである。
転校生である主人公と【生徒会】たち……。その死闘の幕が上がろうとしていた。
(公式サイトより引用)

製品情報

作品名 九龍妖魔学園紀(re:charge)
公式サイト ATLUS
発売日 2004年9月16日
2006年9月28日(re:charge)
2020年6月4日(switch版)
ジャンル 学園ジュブナイルアドベンチャー+RPG
対応機種 PS2/switch
キャスト 皆守甲太郎(浜田賢二)
取手鎌治(加瀬康之)
黒塚至人(石田彰)
夷澤凍也 (新垣樽助)
ボイス ダンジョンパートのみボイス有り
主人公情報 葉佩九龍(名前変更可)
ボイス無し
身長・体重その他詳細プロフィール設定可能
個別イベント 有り
個別エンディング 有り(re:chargeのみ)
作品の傾向 台詞無し主人公 トレジャーハンター 学園が舞台
後味の良いストーリー 男がヒロイン 個性的なキャラクター
キャラ傾向 気だるげな相棒(皆守甲太郎)
内気なピアニスト(取手鎌治)
石マニア(黒塚至人)
ツンデレ後輩(夷澤凍也)

感想

トレジャハンターの主人公が、学園に隠された秘宝を探しつつ、生徒と先生を攻略していくアドベンチャーRPG。
日本神話を織り交ぜたストーリーと、ジャズベースの音楽が独特な世界観を構築しています。

主人公は無個性型主人公で、身長や体重などある程度自分好みにカスタマイズできます。
このカスタム要素と、後述する感情入力システムによって、プレイヤーは「ぼくの かんがえた さいきょうしゅじんこう」を脳内でイメージしつつプレイする事が出来ます。
このシステムのお陰で、主人公の言動や行動にイラつく事は一切無く、こんな画期的なシステムが1998年(魔人学園)の時点で導入されている事に衝撃を受けました。

本作は魔人学園から続く感情入力システムが採用されており、主人公の台詞の代わりに【喜・愛・悲・憂・燃・友・怒・寒】という8つの感情の中から、好きなものを選択する事が出来ます。
例えば【燃】を選択した場合、「暑苦しい奴だな」と返されるなど、選択した感情によって相手の反応も変化していきます。
今作は感情値という好感度のような隠しパラメーターあり、選択した感情によっては相手の感情値が下がる事もあるので、あまりふざけすぎると痛い目をみる事になりますが、TPOを弁えていればそうそう下がる事はないので、選択の自由度は高いです。

そして、ここで重要なのが【愛】です。
基本的に【愛】は感情値が高くない状態のキャラの場合、男女問わず引かれるか驚かれるかのどちらかです。
しかしながら、感情値を上げた状態で【愛】を選択すると、男女問わず満更でもない反応が帰ってくるようになります。
女の子は頬を染めて照れつつも嬉しそうにしてくれたり、最初はドン引きしていた男性陣も「まったくお前ってやつは…」なんて言いつつも、主人公の【愛】を受け入れてくれるようになり、この反応の変化がとにかく嬉しいです。

また、感情値が上がると主人公を愛称で呼んでくれるようになったり、アドベンチャーパートで確認できる人物相関図が変化していきます。感情値には「愛情」「友情」「信頼」の三種類があり、この内の「愛情」「友情」どちらの値が高いかによっても、人物相関図は変化していきます。

<例>主人公のクラスメイト・皆守甲太郎の場合
・友情値が高い時…『皆守→(相棒)→主人公』
・愛情値が高い時…『皆守→(守ってやる)→主人公』

主人公に対する感情値が変動することで、仲間キャラ同志の相関図も変化し、主人公に対する愛情値が高い男キャラ二人の相関図が、妙にギスギスしたものになったりします。
感情値上げは結構大変なんですが、上げた事で反応だったり呼び方だったり様々な要素が変化していき、上げた事によるご褒美もしっかり用意されているので、不満よりもやりがいにも繋がっています。

キャラはどのキャラも個性派ぞろいで魅力的ですが、序盤から仲間になる皆守甲太郎は主人公のクラスメイトという事もあり、行動を一緒にする時間が長く、設定的にも色々美味しい要素が詰まったキャラでした。
性格は怠惰&ドライ。最初は転校生の主人公とも積極的に関わろうとしませんが、巻き込まれる形で主人公と行動を共にするうち、徐々に態度が軟化していきます。後ろから飛びつこうとした主人公を避けてドヤ顔してたり、仲良くなるにつれて年相応な面が見えてくるのが、なんとも微笑ましいです。個別イベントにあたるクリスマスのイベントを見るため、三人の女性キャラとのフラグを折らなければいけない為、裏ヒロインと称されることも…。

現在Switch版が発売されていますが、PS2版の完全版で追加されたエピローグ、二週目引き継ぎ要素などが無いなど、ファンとしては不満の残る内容となっています。
発売当初問題になったバグなどは無くなったので、プレイには支障はありませんが、Switch版からの新規ユーザーの方に、あの素晴らしいエピローグを見て頂けないのは残念でなりません。
フルボイスという魅力的な追加要素もありますし、システム的に携帯機との相性はすこぶる良いので、Switch版もオススメな事に変わりありません。

癖の強いキャラデザに、独特な戦闘システム。正直万人向けとは言い難い作品だとは思いますが、男同士の熱い友情をRPGで堪能したい!という方はやらなきゃ損です。裏ヒロインと称される皆守の実力、是非プレイして体感して頂きたい。