Caligula -カリギュラ-

あらすじ

人気バーチャルアイドル“ミュウ”は、人々から与えられた楽曲を歌ううちに自我が芽生え、ひとつの気づきを得た。

『現実というものが人々を苦しめ続けている』

愛すべき人間を救うため歌を聞いてくれる人々を、理想の世界「メビウス」へと誘い、その世界で人々が望む全てを与えた。
それが愛する人間たちに緩やかな滅びをもたらしているとも知らずに。
(公式HPより)

製品情報

作品名 Caligula –カリギュラ
公式サイト 公式HP
発売日 PS Vita:2016年6月23日
PS4:2018年5月17日
Steam:2019年3月13日
Switch:2019年3月14日
ジャンル 学園ジュブナイルRPG
対応機種 PS Vita/PS4/Steam/Switch
キャスト 主人公(沢城千春)
佐竹 笙悟(武内駿輔)
峯沢 維弦(梅原裕一郎)
巴 鼓太郎(細谷佳正)
響 鍵介(蒼井翔太)
ボイス 有り
主人公情報 デフォルト名・セリフ無し
戦闘時のみボイス有り
個別イベント 有り
個別エンディング 無し
作品の傾向 ファンタジー風 学園ジュヴナイル システムに難あり
キャラ傾向 頼れる兄貴分(佐竹 笙悟)
ミステリアスな同級生(峯沢 維弦)
ムードメーカー(巴 鼓太郎)
生意気な後輩(響 鍵介)

感想

総プレイ時間は40時間弱。敵のドロップ品を確認するために戦闘しまくっていたので、シナリオを追うだけならもっとサクッとクリアできると思います。

クリアしてつくづく一長一短な作品だなぁと思いました。個人的に癖の強いキャラクターと戦闘システムは大好きなので、是非ともシリーズ化して欲しい作品ではあります。それでも手放しにお勧めは出来ないな、というのが正直な感想です。

とりあえず不満点から。
一番気になったのは個別イベントの発生タイミング。
個別イベントは好感度とシナリオ進行度によって順次解放され、その個別イベントが発生するのは主人公達の拠点なんですが、後半敵に拠点がバレてしまい命の危機に晒されます。そこで「敵にバレたしもうここ(拠点)は使えないな」と、拠点を放棄する展開になります。
にもかかわらず、拠点には問題なく入ることができ、入るといつも通り勢ぞろいしている帰宅部メンバー。そして何事もなかったかのように、個別イベントでは部室でくつろぐ帰宅部メンバー。
いやね、あなた達が気にしないなら別に良いんですよ、でもさっき拠点は使えないなって言ってたじゃん!?と平然と寛ぐ様子に思わず突っ込んでまいました。前述した命の危機というのがかなりヤバイものだっただけに、記憶がリセットされたかのようなキャラの振る舞いは、かなり違和感がありました。
他にも本編シナリオでは精神的にボロボロになってるキャラが、個別シナリオではノリノリハイテンションだったりと、色んなところでフラグ管理の甘さが目立ちました。

戦闘システムは簡略化されて、ここら辺は賛否両論ありそうです。個人的にはサクサク進められるので嬉しかったですが。Vita版には無かったオート戦闘機能もあるので、戦闘面でのストレスはありませんでした。

音楽は複数人のボカロPが楽曲を担当するという事で、若干不安でしたが全くの杞憂でした。敵キャラのイメージに沿った楽曲で、ボス戦のアレンジも超絶かっこよかったです。PS4版の追加キャラの楽曲も中毒性のあるもので、全体的に音楽のクオリティは高いです。

シナリオやキャラは、それぞれに心に傷を負ったキャラ達の葛藤や、それをどう乗り越えていくか、というのが丁寧に描かれていたので、クリアし終えた時にはどのキャラにも愛着がわいていました。終わり方も後味の良い、さわやかなラストだったのも私好み。
基本的に主人公が仲間たちのトラウマ解決の手助けをし、それによって信頼を得て好意を抱かれていくというパターンです。個別イベントも、最後のほうは男女問わず皆デレてくれるので攻略しがいがありました。
プレイ序盤は鼓太郎が短気だしお調子者だしでイマイチ好きになれませんでしたが、個別イベント終わらせた時には、悲惨な境遇にも負けずに生きてくれたことを心から感謝する程度には好きになっていました。
男版綾波レイのような峯沢君は、シリアスそうな顔面とは裏腹に、最初の個別イベントでネタキャラとして活躍してくれました。牛丼屋に初めて入り、牛丼屋のシステムを大真面目に考察するイケメン。そしてそれを陰からそっと見守る主人公という、シュールなシチュエーション。要するにはじめてのおつかい(高校生Ver)です。
彼のトラウマに関しては、具体的な説明がされないのでモヤっとしましたが、好感度MAXにすると戦闘時に「あんたの敵は僕の敵だ」と、可愛らしいことを言いながら戦ってくれるので、こまけぇこたあいいんだよ!!萌えればな!と悟りました。

女性陣も一癖も二癖もあるキャラばかりでしたが、ヒロインの綺麗な部分だけではなく、マイナスな部分だったり、ヒロインとしては賛否分かれそうな部分をあえて描写している点は、とても好印象でした。癖の強さの中にも可愛らしさも感じられて、男女問わずキャラクターは魅力的だったので、個別イベントはどれも見ていて楽しかったです。

グラフィックや戦闘モーション、ダンジョンの単調な構造などは大手メーカーの作品と比較すると、もう少し頑張れ!と言いたくなるクオリティですが、それでも私はこの作品の続編が出たら間違いなく買うと思います。諸々洗練されたら化けるのでは?と期待せずにはいられない、未知の可能性を秘めた新入部員のような作品でした。